フリーランス保護新法とは?ブライダル事業者がとるべき対策を解説

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これまでは口頭での約束で業務委託が成り立っていたり、報酬の支払い期日が曖昧だったりしたこともあるかもしれませんが、フリーランス保護新法の成立を受けて、これらの慣習がNGとなります。

 

この記事でフリーランスのスタッフと業務委託契約を結ぶ際にブライダル事業者が取るべき対策を解説しますので、参考にしてみてください。

 

1.フリーランス保護新法について

まずはフリーランス保護新法について詳しくみていきましょう。

 

①内容

フリーランス保護新法は、フリーランスとして働く人の人口増加を受けて成立した法律です。施行日はまだ決まっていませんが、2024年秋ごろまでには施行される見通しです。

 

この法律では、次のことが義務付けられています。

 

・業務委託契約を結ぶ場合、必ず事前に書面で条件を明示すること

・業務を完了・納品から60日以内に報酬を支払うこと

・発注者はフリーランスに依頼する業務内容を常に最新の状態にしておくこと

・育児や介護などの事情に配慮すること

・ハラスメント対策を行い、その内容を周知すること

 

フリーランス保護新法に違反すると罰金が科されるほか、公正取引委員会が必要と認めれば行政指導も入ります。公正取引委員会の命令に従わなければ社名の公表も行われるため、企業はきちんと法律の内容を把握・遵守することが重要です。

 

②法案の背景

フリーランス保護新法成立の背景には、フリーランス人口の増加があります。フリーランスは、企業に雇用される労働者ではないため、労働基準法が適用されません。

 

労働者よりも弱い立場に置かれることが多く、報酬の支払い遅延や無理な要求など、業務上の不利益も受けやすいとされています。そこで立場の弱いフリーランスを守るために成立したのが「フリーランス保護新法」です。

 

フリーランス保護新法の成立は、多様な働き方を実現するうえで非常に重要な法律と位置づけられています。

 

2.ブライダル事業者が注意すべきこと

ここからはブライダル事業者が注意すべきことを解説します。2023年10月現在、フリーランス保護新法はまだ施行されていませんが、施行までの間に仕組みを整えておきましょう。

 

①口頭だけではなく書面で契約する

フリーランス保護新法施行後は、書面で契約を結ぶことが義務付けられます。これまで口頭で「〇日の結婚式で仕事をしてほしい」というような依頼をしていた企業も多いでしょう。しかし、今後は書面で委託する業務の内容や報酬額を事前に明示する必要があります。

 

書面といってもプリントアウトした紙である必要はなく、発注者・フリーランスの双方が記録として参照できる形であればメールやチャットなどでも構いません。

 

書面には、次のことを記載してください。

 

・委託する業務の内容

・報酬額

・報酬支払いの期日

・そのほか公正取引委員会規則が定める事項

 

②報酬は60日以内に支払う

法律の施行後は、業務完了・納品日から60日以内に報酬を支払うことが義務付けられます。これは、フリーランスへの報酬未払い・支払い遅延を防ぐためです。

 

なお、報酬の支払いにあたって報酬の減額や返品、相場より著しく低い報酬額の設定なども、禁止されます。資金繰りが厳しくても60日以内に報酬を支払わなければならないので、スムーズに報酬を支払えるような仕組みを整えておきましょう。

 

3.ブライダル事業者がとるべき対策

①禁止事項をしっかりと把握しておく

ブライダル事業者は、フリーランス保護新法が施行される前に、どういったことが禁止されるかきちんと把握しておきましょう。「今のところトラブルは起きていないから大丈夫」と安心せず、弁護士など法律の専門家からレクチャーを受けるなどして、禁止事項を正しく把握するよう努めてください。施行後に禁止されるのは次のような事柄です。

 

・フリーランス側に非がないのに成果物の受け取りを拒否すること

・フリーランス側に非がないにもかかわらず一方的に報酬を減額すること

・フリーランス側に非がないのに業務をやり直させること

・一般的な相場と比較して著しく低い報酬を設定すること

・正当な理由なく物品を購入させたりサービスの利用を強いること

 

これらを鑑みたうえで、ブライダル事業者がとるべき具体的な対策を解説していきます。

 

②現行の発注の流れに関してリーガルチェックを行う

まずは、現行の発注フローや契約内容がフリーランス保護新法に抵触していないか、プロの法律家に依頼してリーガルチェックを行いましょう。前述した禁止事項に反する箇所の有無はもちろん、報酬の支払い期日なども重要な確認項目です。

 

③フリーランスへの発注マニュアルを作成する

フリーランス保護新法の順守には、従業員の理解と周知の徹底が重要です。フリーランス対応用の社内マニュアルを作成することで、禁止事項などの共有がスムーズに行えます。

 

④安心して任せられる外注先を確保する

安心して任せられる外注先を確保することも重要です。法律制定の背景には、フリーランス人口の増加とそれにともなうトラブル増加があります。 これまで取り引きしたことがないフリーランスと業務委託契約を結ぶ際は、事前に綿密な打ち合わせを行うなどして、安心して業務を任せられるかどうか見極めることも重要です。

 

4.まとめ

フリーランス保護新法が施行され、法律に違反すると罰金などのペナルティが科されるので、フリーランス保護新法について専門知識を持たない人の場合は、弁護士に相談するのがおすすめです。

 

リフト法律事務所では、ブライダル・ウェディング業界に強い弁護士が、皆様からの相談にお応えしています。

フリーランス保護新法施行前に業務委託に関する不安を解消しておきたい方は、お気軽にお問い合わせください。

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弁護士 川村勝之

大学院時代には労働法を専門的に学び、弁護士となる。2015年にリフト法律事務所を立ち上げる。法律に関する知識に加え、IT関連の知識やコーチングの知識にも造詣が深く、多数の企業の顧問弁護士を務める。

 

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