ブライダル業の景表法対策「好評につき延長」の使い方を解説
ブライダル業界では「好評につき延長」という表現を目にする機会が多くあります。しかし、ルールを守って使用しないと景品表示法違反になってしまうので注意が必要です。
この記事では、景品表示法を守って広告を配信・宣伝するために押さえておきたい「好評につき延長」の使い方を解説します。
【目次】
1.ブライダル業によくある「好評につき延長」
ブライダル業界の広告・宣伝でよく目にするのが「好評につき延長」という表現です。しかし、この表現を使う際は景品表示法(景表法)に違反しないよう注意しなければなりません。
まずは景表法の概要と注意点を解説します。
①景表法とは
景表法とは、消費者に向けた広告や販売に際しての景品提供について規制する法律です。
主に
・不当な広告の規制
・販売における過大な景品提供の禁止
の2つから成ります。
景品表示法に違反すると、多額の課徴金を納付するよう求められたり、処分内容が会社名とともに公表されたりするため、事業がストップしてしまうことも珍しくありません。
これまでに処分を受けた企業の多くは、景表法の知識が乏しい企業等です。
景表法違反でペナルティを受けないためには、景表法で注意すべきことをきちんと押さえておく必要があります。
②注意点
景表法に違反しないためには、次のことに注意しましょう。
・有利誤認表示にならないような表現をする
・十分な根拠のない価格表示は避ける
ブライダル業者の景表法違反で多いのが「有利誤認表示」です。
これは、消費者に対して実際よりも商品・サービスの取引条件について、著しく有利であると誤解させるような表現をいいます。
たとえば、実際には安くないのに、その価格が相場より著しく安いと誤解するような表現をした場合は、有利誤認表示による景表法違反と判断されることがあります。また、実際に販売しない価格を表示したり、ごくごく短期間のみの安い価格を表示したりすることは「十分な根拠のない価格表示」と判断されることがあります。
以上のことから、キャンペーンによる割引価格が「好評につき延長」であることを謳うと、キャンペーン価格が通常よりもお得であると誤解される恐れや、キャンペーン前の価格が実体をともなう通常価格であるか疑わしくなるため「(キャンペーンが)好評により延長」という表現は控えたほうが無難です。
2.キャンペーン期間に関する規制
キャンペーン期間に関する規制で注意すべきことは、以下の2つです。
・二重価格表示に注意する
・キャンペーン期間を明示する
①二重価格表示に注意
二重価格表示とは、実際の販売価格にそれよりも高い価格を併記することで安く見せかけることです。
通常であれば、消費者に商品の安さを訴えかける有効な手段ですが、併記する価格に実体がなければ不当に商品を安く見せることになるため、有利誤認につながるとして景表法で規制されています。
「実体がない価格」とは次のような価格です。
・その価格で販売されることがない価格
・極めて短期間だけに適用される価格
仮にキャンペーン価格1万円(通常価格3万円)のプランを、キャンペーン終了後も1万円で販売し続けていれば、3万円という価格は実態がないものとして「二重価格表示違反」と判断されることがあります。
②キャンペーン期間を明示する
キャンペーンを実施する際は、いつからいつまで実施するか期間を明示することも重要です。
価格表示ガイドラインでは「過去の販売価格を比較対象にする場合、割引キャンペーンの期間は最長4週間までにすること」というルールを設けています。
通常価格より安い価格で買えるのはいつまでなのかをきちんと明示しないままキャンペーンをスタートさせてしまうと、ずっとキャンペーン価格が続くことにもなりかねません。すると、通常価格が実体をともなわないものと判断される恐れがあります。
キャンペーンを実施する際は、有利誤認表示違反をしないためにも、そのキャンペーンがいつからいつまで実施されるのかをはっきり示すようにしましょう。
3.キャンペーン期間の延長に関する規制
キャンペーン期間の延長可否について定めたガイドラインはありませんが、キャンペーンを「好評につき延長」したい場合、いくつか注意すべきことがあります。
①有利誤認表示
キャンペーン期間を延長してもよいかどうかは、価格表示ガイドラインで決められていません。しかし、景表法が有利誤認や不当な価格表示を規制していることを考えると、キャンペーン期間の延長を繰り返すことはリスクがあります。
キャンペーン期間の延長を繰り返すことで、通常価格が実体のないものと判断されるおそれがあるからです。好評であったとしても、キャンペーン期間は延長せず、当初の期日で終了したほうが景表法違反のリスクは低くなります。
②割引キャンペーンを再度実施するには?
割引キャンペーンを再度実施するには、一度キャンペーンを終了して、通常価格で販売することが大切です。一度通常価格で販売した後であれば、再度割引キャンペーンを実施しても問題にはなりません。
ただし、初めて割引キャンペーンを実施する際に「今だけ」「今回限り」など「今後割引キャンペーンを行わない」とも受け取れる表現をしてしまうと、消費者に誤解を与えるとして問題になるおそれがあります。
4.まとめ
ブライダル業界の広告を見ると、景表法違反の恐れがある広告も多く、顧客との間でトラブルも発生しています。景表法違反を避けるには、景表法に強い弁護士に相談するのがおすすめです。
千葉県のリフト法律事務所では、ブライダル・ウエディング業界に強い弁護士が、広告表現やマーケティングの相談をお受けしています。法令を遵守しながらより効果の高い訴求を打ち出したい企業様は、お気軽にお問い合わせください。
弁護士 川村勝之
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