【ブライダル業者必見!】ブライダルと法律に関する押さえておきたいポイント3選と注意点を解説
・「結婚式で流す音楽の著作権はどうなるの?」
・「撮った写真はSNSにアップしてOK?」
こんな悩みを抱えている人も多いでしょう。
そこで今回は、ブライダル関連の法律問題や著作権について解説していきます。様々なシーンの法律問題を解説しているので、結婚式を控えている人やブライダル関係者はぜひ最後までご覧ください。
【目次】
1 ブライダル関係者が押さえておきたいポイント3選
ブライダル関係者が押さえておきたいポイント3選とは、以下の3点です。
①式に参加する人数に適した会場を選ぶ
②式の参加者1人ひとりが楽しめる演出を心がける
③新郎新婦両家の式に対する認識を合わせておく
まず、「①式に参加する人数に適した会場を選ぶ」ですが、参加者にとって窮屈と感じない程度にゆったりと座れる会場を選ぶ必要があります。事前に式を行う会場の間取りなどを確認するようにしましょう。
また、「②式の参加者1人ひとりが楽しめる演出を心がける」ですが、テーブルスピーチやラウンドといった式の参加者1人ひとりが楽しめる演出を取り入れるのも、式を盛り上げ成功させる鍵となりましょう。このような演出のほか、参加者1人ひとりと話をしたり、写真を撮ったりする時間を設けるのも大切なことになります。
「③新郎新婦両家の式に対する認識を合わせておく」ですが、両家によっては、式に対する考え方やイメージに違いがある場合があります。新郎新婦が仲介役となって、両家の認識に差が出ないように気を配るようにしましょう。
(1)結婚式・披露宴は著作権問題が多い
結婚式・披露宴では、写真や音楽に関して著作権が問題となることが多いものです。
(2)法律違反にならないように注意
結婚式や披露宴における写真については、被写体の人に肖像権があるほか、写真撮影者あるいは撮影を依頼した事業者(結婚式場や写真館など)に著作権があります。したがって、撮影者や事業者の著作権を侵害し、法律違反にならないように注意しましょう。
また、結婚式や披露宴における音楽については、著作権が問題になります。必要な手続きを行わずに無断で楽曲を使用すると著作権の侵害となる可能性があります。したがって、結婚式や披露宴で楽曲を使用して著作権を侵害し、法律違反にならないように十分注意する必要があります。
2 結婚式・披露宴で音楽を流すとき
音楽にまつわる著作権については、作詞家、作曲家や演奏家など、その楽曲ができるまでにかかわる音楽家は、その楽曲が利用されることで生じる著作権料を収入として得ています。楽曲を利用するときは、著作権法によって、著作権者から利用の許可(利用許諾)を得る必要があります。
ところで、著作権は、大きく分けて、「楽曲を作った人」と「楽曲を演奏・放送する人」に認められた権利です。前者は「著作権」、後者は「著作隣接権」になります。
結婚式・披露宴で音楽を流すとき、著作権者(音楽を作った人)だけでなく、著作隣接権を保有する歌手やレコード会社の許可を得る必要があります。著作隣接権については、日本レコード協会(RIAJ)が管理しています。
しかし、楽曲を利用する者が、個別に、著作権者(音楽を作った人)から許可を得ることは困難です。そこで、各国には、音楽の著作権を管理する団体が設けられています。
日本の場合、日本音楽著作権協会(JASRAC)とNexToneという著作権管理事業者があり、JASRAC は作詞家、作曲家、音楽出版社などの著作権者から、NexToneは音楽出版社から著作権管理の委託を受け、利用者の手続きの窓口となり、使用料を著作権者に分配しています。
また、事業者からの委託を受け、ブライダルに特化した著作権の管理団体として、音楽特定利用促進機構(ISUM)があります。
したがって、結婚式・披露宴で音楽を流すときは、ISUMに申請すれば、新郎新婦に代わり著作権に関する手続きを行ってくれます。ただし、ISUMに著作権の利用申請をすることができるのは、登録事業者(結婚式場や結婚式ムービーの製作会社)に限られ、原則として個人が直接ISUMに申請することはできません。このように、ISUMは、ブライダル事業者の手続き(利用申請)を代行する団体なのです。
(1)無断で音楽を流すのは法律違反
上述したように、結婚式や披露宴で音楽を流すには、著作権者の許諾(利用申請はISUMが行います)が必要です。
したがって、無断で音楽を流すのは、著作権を侵害し、法律違反になります。この場合、著作権者は、損害賠償など民事上の責任を追及することができるほか(著作権法112条~118条)、著作権侵害者は、10年以下の懲役もしくは1,000万円以下の罰金、または懲役と罰金の両方を科せられます(同法119条1項)。
(2)結婚式場とJASRACが契約しているか確認が必要
結婚式や披露宴では、入場や退場のシーンにおいて、CDの音源を流すのが多いものです。楽曲を演奏したり、CDを流すのは「演奏権」にあたります。
ほとんどの結婚式場では、演奏権について管理団体と音楽利用に関する契約(たとえば、JASRACとの包括的利用許諾契約)を結んでいますが、後々問題が起こらないためにも、結婚式場とJASRACが演奏権について契約しているか確認しておく必要があります。
3 結婚式・披露宴で写真撮影するとき
結婚式・披露宴で写真撮影するときには、被撮影者の肖像権が問題になります。
新郎新婦はその思い出を残すために撮影に同意して臨んでいますが、参加者は必ずしもそうとはいえません。参加者が意に沿わない撮影をされて、後々トラブルとならないようにしなければなりません。参加者の肖像権侵承害にならないように、撮影者は注意する必要があります。
参加者が全体写真で写るようなケースでは、その承諾(あるいは黙示の承諾)があったとみなされるでしょうから、肖像権侵害にはあたらないといえるでしょう。
(1)撮影した写真の2次利用は法律違反
撮影した写真を無断で2次利用するのは、被写体の人の肖像権を侵害するとともに、著作権者の著作権を侵害するものとして、法律違反になります。
(2)写真の2次利用は撮影者・事業者の許可が必要
著作権者以外の者が、写真を2次利用する場合は、撮影者・事業者の許可が必要です。もとより、被写体の人の同意が前提となります。
撮影者が、写真をコンクール等に応募したいという場合には、撮影したデータをプロデュース会社に譲渡する際に、契約書の中に、被写体の人の同意がある場合には、その写真をコンクール等に出品することは妨げないという条項を設けておく必要があります。
また、写真の二次利用が見込まれる場合、撮影者は、撮影時に日時・方法等その後の使用(公表)をしっかり伝えて明らかにしたうえで、別途、被写体の人や事業者の同意を得ておかなければなりません。
4 前撮り・フォトブライダルを公道や公共の場で撮影するとき
前撮り・フォトブライダルを公道や公共の場で撮影するときは、プライバシー権と肖像権に対する配慮が必要になります。
公道や公共の場にたまたまいた人には、その場にいたことを知られたくないなどのプライバシー権があるとともに、撮影されたくないという肖像権があります。
したがって、前撮り・フォトブライダルを公道や公共の場で撮影するときには、関係者以外の人が写らないように注意し、法律違反という問題が起こらないようにする必要があります。
許容限度を超えた無断撮影は法律違反
公道や公共の場において無断で撮影することは、それらの場にいる人の許容限度を超えた場合には、プライバシー権や肖像権を侵害するもので、法律違反になります。しっかりと認識し、無断で撮影してしまわないように注意しましょう。
5 まとめ
ブライダル関連の法律問題や著作権については、様々なケースでの対応が必要になります。
リフト法律事務所は、『頼れる社外法務部』として、ブライダル・ウェディング業界のリーガルサポートを提供しています。
契約書・規約のチェックなどはもちろんのこと、新規事業におけるスキームが法的に問題ないか、またどのようなリスクが考えられるかを弁護士の観点から判断し、経営やビジネスの視点からも対策します。また、IT・DX化対応も積極的に行っておりますので、幅広くサポートすることができます。
さまざまな業界での経験や広い視野をもとに、ブライダル・ウェディング業界の各事業者様に寄り添った適切なサポートを行って参ります。
『依頼』ではなく、まずは『相談』から始めてみませんか。
弁護士 川村勝之
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