ブライダル業界のカスハラ対策!弁護士に相談する必要性とは
人生の門出の瞬間を一生の思い出となるように、顧客の要望に寄り添ったサービスを提供するブライダル業界では、行き過ぎたサービスを要求する顧客による「カスハラ」が問題視されています。
カスハラとは正式にはカスタマーハラスメントといい、顧客による嫌がらせ行為を指します。近年ブライダル業界におけるカスハラの被害は深刻化しているため、対応する従業員のメンタルケアなどを含め企業として適切な対策が必要です。
そこで、ここではブライダル業界の企業が行うべきカスハラ対策について解説します。
【目次】
ブライダル業界でのカスハラの現状
一生に一度の大イベントとなる結婚式を演出するブライダル業界では、結婚式を任されているという責任のもと顧客の要望を聞きながら慎重に準備を重ねて、当日の結婚式がよりよいものになるように業務を進めています。
しかし、演出の失敗やスタッフの不手際など、ときには失敗をしてしまうこともあり、顧客から叱責されることもあります。
そのような際には企業として誠心誠意の謝罪することが大切です。しかし、なかには悪質なクレームをつけて長時間にわたって従業員を叱責する、謝罪として金銭を要求するなど、常識から外れた顧客もいます。
それがカスハラ(カスタマーハラスメント)と呼ばれ、従業員に苦痛を与える行為となります。
とくに、大きな金銭が発生するブライダルのサービスにおいては、不当なクレームをつけて多額の賠償金を請求する、サービスの内容に納得できないといって結婚式にかかった費用を支払わないなどの行為が少なからずあります。
日本テレビ系列の情報番組『スッキリ』(2019年12月10日放送)では、結婚式場で新婦の父親から「契約書の字が汚い」「花嫁の手紙でスタッフが泣かなかった」などのクレームがあり謝罪を求めたケースが紹介されました。
また、暴力や暴言、SNSへの書き込みにより、企業の信頼を失わせる行為などもカスハラとして含まれます。カスハラの対処にあたる従業員の精神的負担は大きく、離職の原因のひとつとなっているのが現状です。
ブライダル業界の企業が取るべきカスハラ対策
カスハラによる悪質な嫌がらせ行為は従業員の心身に悪影響を及ぼし、ときに不調をきたす要因にもなります。
企業には従業員の安全と健康を守る安全配慮義務があり、従業員の就業環境を脅かすカスハラには企業として正しい対策が必要です。
すでに令和2年1月には「事業主が職場における優越的な関係を背景とした言動に起因する問題に関して雇用管理上講ずべき措置等への指針」が策定され、そのなかで「顧客等からのカスハラに関して、事業主は従業員からの相談に応じ、適切に対応するための体制の整備や被害者への配慮、被害を防止の取組みが有効」とされていることからも、企業ごとのカスハラ対策は急務といえるでしょう。
ここからは、ブライダル業界の企業が取るべきカスハラ対策として有効な方法をご紹介します。
正当なクレームと区別できるマニュアルを作る
顧客からの過剰なサービスの要求や悪質なクレームをカスタマーハラスメントといいますが、このような顧客対応で最も大切なのは、従業員が正当なクレームと不当なクレームを区別し適切に対処することです。
そのためには、企業がカスタマーハラスメントの定義と判断基準を明確にして、それぞれのケース別に対応マニュアルを作成することが重要です。
カスタマーハラスメントの判断基準が明確でない場合、その場しのぎの謝罪するケースが多くみられますが、このような行為は顧客の要求をさらにエスカレートさせてしまう危険性があります。
正当なクレームには真摯な対応が求められますが、不当なクレームには企業として毅然とした態度で対応することが大事です。また、そうした適切な対応が従業員を守ることにもつながります。
従業員の心をケアするための相談窓口を設ける
カスタマーハラスメントのなかには、従業員の人格を否定するような暴言や土下座の要求など、対応に当たった従業員の心を傷つけるような内容も多くみられます。
その結果、カスタマーハラスメントを受けたことで心身に不調をきたし、離職の原因になることも少なくありません。
このような事態を避けるためにも、カスタマーハラスメントが発生しやすいブライダル業界の企業は、積極的に企業内相談窓口を設置しメンタルヘルス対策を実施すべきでしょう。
相談窓口が機能するようになれば、従業員の心の不調を早期に発見し適切なケアできるようになるため、休職や離職を防止することにも期待がもてます。
いつでも弁護士に依頼・相談できる体制を整える
カスタマーハラスメントの判断基準を明確にして、マニュアルに沿った対応することで大きなトラブルへの発展を防ぐ効果が見込めます。
しかし暴力や恐喝まがいな行為など、悪質性の高いケースではその場で対応しきれないこともあるでしょう。そのような場合、企業として法的措置をとることも視野に入れ、いつでも依頼・相談できる弁護士を選定しておくことが大事です。
また、従業員が危険にさらされることのないよう、万が一に備えて最寄りの警察署など把握し通報先を決めておくことも大きなポイントといえます。
カスハラを弁護士に相談・依頼する必要性、メリット
ブライダル業界の企業が顧客からカスタマーハラスメントを受けた場合、弁護士に相談するメリットとしては以下のことが挙げられます。
不当なクレームに対して適切に対処してもらえる
カスタマーハラスメントに対し企業が弁護士に相談や依頼するメリットは、警察では介入してもらえないような不当なクレームや要求にも適切に対処してもらえることです。
いつまでも長引くクレーム対応には、弁護士に相談や依頼をすることでより適切な対応方法を提案してもらえて、さらには内容証明の送付や必要に応じて法的措置を取ってもらうことも可能になります。
人材の定着につなげられる
カスタマーハラスメントの対応で困った際に相談できる弁護士がいることは、迷惑な顧客対応によるリスクから従業員を守ることにつながり、人材の定着につなげることにも期待できます。
近年社会問題にもなっているカスタマーハラスメントに対し、企業としてリスクマネジメントができていることは、働くうえで従業員の大きな安心感につながるでしょう。
まとめ
ブライダルサービスを提供するブライダル業界では、過度なサービスを求める、不当にクレームをつけるなど、従業員を疲弊させるカスタマーハラスメントが少なからずトラブルを起こしています。
顧客からの不当なクレームには企業として毅然とした態度で適切に対処することが大切ですが、長引くクレーム対応や解決困難なトラブル対応には弁護士に相談するのがおすすめです。
弁護士 川村勝之
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