社内のメンタルヘルス対策
【目次】
メンタルヘルス対策の悩み
・「最近、ストレスチェックなども義務化されているけれど、企業としてどう対応すれば良いのか、よくわからない」
・「適切なメンタルヘルス対策ができていなかったら、雇用者側にどんな責任が発生する?」
・「メンタルヘルス対策として、具体的にどうしたらいいのか?」
・「安全配慮義務や健康配慮義務という言葉を聞いたことがあるけど、具体的には何をすればいいのか?」
・「メンタルヘルス不調者を休ませたり、復帰をしてもらう際の判断はどうすればいいのいいのか?」
・「ストレスチェックをする上での注意点を知りたい」
平成26年の精神疾患の患者数は「約392.4万人」(厚生労働省『患者調査』)と過去10年で約2倍にもなり、「働く人の約60%」が、現在の仕事や職業生活に関することで強い不安、悩み、ストレスとなっていると感じる事項があると、回答しています(厚生労働省『平成24年労働者健康状況調査』)。
このように近年、メンタルヘルス不調者が増加し、働く人の多くが何らかの悩みをかかえながら日々働いています。メンタルヘルスの不調は、社内では高評価を受けている人や元気そうな人でも、実は深刻に悩んでいるケースも少なくありません。
また、メンタルヘルスの不調は、精神疾患、自傷行為や自殺等、深刻な被害に発展する危険があるため、会社としては、メンタルヘルス対応を軽視してはいけません。
法律上も使用者である会社に従業員の安全、健康、環境に配慮する義務を定めており、適切なメンタルヘルス対応を求めています。
会社が適切なメンタルヘルス対応を怠った場合には、会社に民事責任が生じるだけでなく、刑事責任や行政責任も生じる可能性があります。さらに、社会的責任として、社会からの非難が生じることも少なくありません。
このように、会社は、日頃から従業員のメンタルヘルス対策を適切に行い、従業員の健康面に配慮する必要があります。メンタルヘルス対策がない場合、御社のメンタルヘルス対策に不安がある場合には、まずは弁護士までご相談ください。
1.社内のメンタルヘルス対策の方法
近年、うつ病などのメンタル不調を理由として労働災害の適用を申請する人が増えていることなどもあり、国の厚生労働省も労働者のメンタルヘルス対策に力を入れて取り組んでいます。
まず、メンタルヘルス対策の1つとして、ストレスチェック制度があります。
従業員が常時50名以上の事業所では、1年に1回のストレスチェックが義務づけられていますので、ストレスチェックを実施する必要があります。従業員が常時50名未満の事業所でも、ストレスチェック制度を導入することをおすすめします。
ストレスチェックとは、ストレスに関する質問票に労働者が記入し、それを集計・分析することで、労働者のストレスがどのような状態にあるのかを調べる簡単な検査です。
具体的には、産業医や精神保健福祉士、保健師や看護師などにより、従業員のストレス状態の確認を行い、労働基準監督署に報告する必要があります。調査の際には、厚生労働省が提供している『職業性ストレス簡易調査票(57項目)』を利用してみましょう。
その他にも、民間のメンタルヘルスチェックをするサービスを会社に導入して従業員に受けてもらっても良いかと思います。
また、日常的に、従業員全体にメンタルヘルスケアを推進しましょう。従業員自身メンタルヘルスに対する意識を高め、自分でも配慮させるためです。
具体的には、メンタルヘルスケアの重要性についての指導教育を行い、管理職には部下のメンタルヘルスの状態に配慮するように指導します。メンタルヘルス疾患によって休業した従業員のため復職支援プログラムも作っておくべきです。
メンタルヘルスに精通している弁護士等の専門家による、管理者向けの講習も有効です。
さらに、自社内に専門の相談部署を設けたり、産業医やカウンセラーなどを入れたり外部の医療機関などと連携体制を構築したりして、従業員がメンタルヘルスについて相談しやすい環境を作ることも大切です。
従業員からメンタルヘルス疾患について相談を受けたときには、必要に応じて医療機関の受診を勧め、就業規則等に定められている休職制度についての説明を実施しましょう。自分では気づいていなくても、周囲から見て様子がおかしい従業員がいたら、直属の上司などからの声かけを行うことなども重要です。
この他にも長時間労働に対する改善、職場環境の改善など、従業員のメンタルヘルスに悪影響を与えている原因に対する根本的な改善も必要です。
2.社内でメンタルヘルス対策ができていないとどうなるか
社内で適切にメンタルヘルス対策ができていないと、どのような問題が発生するのか、確認してみましょう。
まず、常時50人以上の従業員を雇用している企業は、ストレスチェックを行って労働基準監督署に報告すべき義務を負います。
労働基準監督署への報告を怠ったり、あるいは虚偽の報告をしたりすると、対象企業には50万円以下の罰金刑が適用されます(労働安全衛生法120条5号)。
企業が適切に対応しなかったことが「安全配慮義務違反」と主張されて、従業員から損害賠償請求をされる可能性もあります。適切な対応ができていないという評判が立つと、社会における企業への信用が低下して、売り上げの低下につながったり優秀な人材を獲得するのが難しくなったりする危険も発生します。
メンタルヘルスの不調が深刻になり、労働災害として精神疾患、自殺等が起こった場合には、民事責任だけでなく、刑事責任としての刑事罰、行政責任として業務停止や行政処分等の各処分を受ける可能性があります。
このように、会社としては、民事責任、刑事責任、行政責任が生じる可能性があります。
法律上の責任だけではなく、会社内においては、会社がメンタルヘルス対策を実施できていないと、せっかく雇用して給料を払っているのにうつ病などで充分に能力を発揮できない従業員が増えて、会社全体の生産性が低下します。優秀な人材が休職や退職をしてしまい、従業員としても活躍の機会を喪失してしまうこともあるでしょう。
3.メンタルヘルス対策を弁護士に依頼するメリット
メンタルヘルス対策を弁護士に依頼すると、以下のようなメリットがあります。
メンタルヘルス対策は日々の対策となり、いつ従業員のメンタルヘルスが不調になるかはわかりません。当事務所の顧問契約では、メンタルヘルス対策の制度策定をはじめ、従業員の不調を早期に把握した際の対応アドバイスや、会社が行う手続きへの同席や面談を含めて顧問弁護士による適切な対応も可能です。
3-1.法律の規定に従った対策をとれる
メンタルヘルス対策と言っても、具体的に何から始めて良いのかわからない、という企業がまだまだ多いです。メンタルヘルスチェックを行う際にも会社の守秘義務等を含めて適切な方法による実施が必要となります。
メンタルヘルス対策に不安がある場合、弁護士に依頼すると、法律によって求められる対応ができますし、行政の指導要領に基づいた適切な行動をとることも可能なので「対応の遅れ」などを指摘されることもなく、安心です。
3-2.メンタルヘルス対策の策定を任せられる
企業自身がメンタルヘルス対策のシステムを構築するのは大変な作業です。マニュアルの制定、研修要領の作成と実施、医療機関などとの連携、復職支援プログラムの作成などさまざまなことが必要だからです。
弁護士に依頼すると、こうした体制作りを任せられるので、会社の負担や手間が省けます。
形式的にメンタルヘルス対策をすれば終わりなのではなく、実効的なメンタルヘルス対策を構築して実施しなければ、法律上責任を免れないこともあろうかと思います。
3-3.問題が起こったときに適切に対応できる
会社内で実際に従業員がメンタル不調で精神疾患等になった場合、会社の日々の対応が不十分だと「安全配慮義務違反」として責任を問われる可能性があります。弁護士に依頼して日々のメンタルヘルス対策を適切に実施している場合には、そのようなリスクを軽減することもできます。
また、万一、従業員から損害賠償請求の裁判をされた場合にも、弁護士であれば、企業の日々の対応事実を立証して、適切な判断を求めることが可能です。
まずは法律相談(初回60分無料相談)にお越しください
現代企業にとってメンタルヘルス対策は非常に重要です。
会社のためだけでなく、従業員の日々のやりがい、従業員の能力を発揮して活躍してもらうためにも、会社として積極的にメンタルヘルス対策を実施することをおすすめします。
リフト法律事務所では、メンタルヘルス対策の制度策定から、日々のメンタルヘルスチェック時のアドバイス、管理者向けの講習、メンタルヘルス不調者に対する対応、休職や復帰に対するアドバイス等、各段階において継続的な対応が可能です。メンタルヘルス対策に不安がある際には、是非ともお問い合わせください。
リフト法律事務所では、顧問企業の実績が多数あり、事業主様、企業様のご相談は【初回相談60分無料】です。
『依頼』ではなく、まずは『相談』から始めてみませんか。
★『法律相談(初回60分無料相談)の予約』はこちら
弁護士 川村勝之
最新記事 by 弁護士 川村勝之 (全て見る)
- リフト法律事務所は『ちばダイバーシティ宣言』に賛同しています - 2024年11月5日
- 【お知らせ】「エリアウエディングサミット2024」に参加しました - 2024年9月30日
- 【お知らせ】夏季休業期間のご案内:8月13日(火)~8月16日(金) - 2024年8月1日