問題社員対応
【目次】
問題社員対応でお悩みではありませんか?
・「問題社員への対応策や対応方法を知りたい」
・「解雇をする場合の注意点を知りたい」
・「解雇した従業員から解雇が無効だと主張されている」
・「労働審判を起こされたりしたら、どう対応したらよいか知りたい」
・「勤務態度が悪く業務に支障を生じさせている従業員がいるけれど、辞めさせることはできないのか」
・「問題社員とはどの程度のことをしたら問題社員として懲戒処分ができるのか知りたい」
・「会社としては少し問題があったとしても社員を適切に教育や指導をしてあげたいがどうすべきか」
会社の適切な指導や教育をしても改善の余地がない、周囲へ悪影響を与えており業務に著しい支障を生じさせている等の問題社員がいる会社は少なくありません。
会社が、問題社員に適切に対応していれば問題ありませんが、何ら対応せずに放置していた場合、他の社員は「会社はあんな問題社員に対して何もしないのか。同じ給料で自分だけ真面目に働くのが馬鹿らしい」と思い始め、やる気をなくし、場合によっては辞めてしまうことも考えられ、日々の業務への支障だけでなく、場合によっては会社の存続にもかかわりかねません。
また、問題社員に対する不適切な対応をした場合には、労働審判での争いとなるリスクもあります。
一方、社員が会社に不都合なことを生じさせた場合に、その理由や過程を問わず、社員を処分できるかというと、決してそうではありません。社員は、会社のために全力を尽くしている結果かもしれませんし、何らかの事情があるかもしれません。
このように、会社に不都合や不利益が生じたからといって直ちに問題社員と決めつけることはできません。
会社は、日頃から社員に対する適切な対応を行い、その上で問題社員に対する適切な対応もしっかりしておく必要があります。問題社員への対応方法等に迷われたなら、まずは弁護士までご相談ください。
段階ごとの問題社員への対応
1.採用段階
まずは、会社の理念や方向性、従業員に期待するものとの相違がありそうな人を採用しないことが重要です。
2.雇用継続段階
次に、従業員の教育や指導等を通じて、職場環境の悪化を防止するため適切に対応することが必要です。
3.退社・解雇段階
最終的には、従業員との雇用契約の終了も視野にいれ、退社・解雇後に紛争にならないように対応することが重要です。
上記の3つの段階のいずれにおいても適切な対応が必要となります。
1.採用段階
1-1.履歴書の確認及び採用面接時の調査
社員を採用した後の解雇は、厳しい法律の規制があります。そのため、まずは採用段階において、会社との関係で問題社員になりそうな人を採用しないようにすることが肝心です。そのためにも採用時の履歴書の確認及び採用面接は重要となります。
具体的には、会社の理念やミッション等の方向性の確認、働く際のイメージ等、双方にとってイメージギャップがないようにすることが重要となります。
1-2.試用期間中の本採用拒否
試用期間中に、問題社員であることが発覚した場合、その程度によっては本採用をしないことも検討します。
会社としては、試用期間制度を導入することで、試用期間中に当該社員と接して、会社の方向性と合う人材か、働く上で支障がないかを確認することができます。
もちろん、試用期間中といえど、労働契約が成立していますので、合理的な理由がない本採用の拒否はできません。
2.雇用継続段階
採用段階では問題社員を見抜けなかった場合や、採用時には問題なかったが採用後に社員が問題行動を起こすようになった場合、どのように対処すべきか問題になります。
多くの会社が悩まれるのは、この段階です。
問題社員を放置するのは周囲との関係も含めて不適切な対応となります。一方、会社が当該問題社員を指導や教育をせずに、法的に不相応な処分としていきなり解雇処分をすると、労働審判や訴訟となるリスクがあります。
会社としては、労働審判や裁判になった場合でも適切な対応だといえるように、普段から客観的にも適切な対応をする必要があります。
社員によっては、適切な教育や指導でその後の態度が変わる、成績が向上することも少なくはありません。社員にとっても何が大切か、そのため、まずは教育や指導から始め、問題の内容に応じて段階的な対応をして、その段階的な対応を経ても会社に支障が生じる場合に懲戒処分を検討すべきです。
2-1.問題社員への教育・指導・注意
問題社員に対していきなり重い処分をする前に、指導・注意を行って当該社員に改善を促すことが必要です。
社員としても、適切な教育や指導、注意をすることで、その問題が改善し、むしろ良い方向へ進むこともあります。問題が生じている原因がどこにあるのかをしっかり見定めて、その原因に対応することが必要です。
2-2.配置転換
問題社員に教育・指導・注意をしても効果がない場合、配置転換を検討することも必要です。
社員によっては、問題の原因が配属先の業務や人間関係の場合もあります。その場合には、人材活用という視点も含めて、当該社員が能力を発揮できる場所を検討する配置転換をすることも検討します。
2-3.問題社員への懲戒処分
問題社員に対して、教育・指導・注意を重ねたり、他の手段を用いてもいっこうに問題の改善が見られない場合は、その問題の内容や程度によって懲戒処分を検討します。
問題が改善しないからといって、いきなり解雇ができるというわけではありません。
当該問題の原因の理由、業務への支障の程度、これまでの会社の社員への対応、過去の処分例等をふまえて、適切な懲戒処分を選択する必要があります。
懲戒処分の際には、本人の意見を聞いたりする等の手続面でも適切な対応が必要です。
3.退社・解雇の段階
会社として適切な対応を尽くしても当該問題社員の改善が見られない、業務への支障が生じる場合もあります。その場合には、会社としては、当該従業員との雇用契約を終了するということも最終的には考える必要があります。
ただし、従業員にも日々の生活や会社で働くという将来への期待もあります。そのため、本当に雇用契約を終了させる方向での対応が必要かは慎重に検討をする必要があります。
3-1.退職勧奨
会社と問題社員で、今後の転職や辞める時期も含めて協議し、社員の意向もふまえて問題社員に会社を辞めてもらうことが、双方にとってよいケースがあります。
退職勧奨といえど、解雇をする等と脅すことはせずに、退職勧奨をする過程においても強制とならないように適切な対応をする必要があります。
このような適切な対応を怠り無理やり辞めさせた場合や、退職勧奨をせずに解雇をした場合で、その後労働審判や訴訟で解雇の有効性を争われたれた場合、会社が負担する時間的・金銭的なコストは相当なものとなります。
会社としても問題社員と協議をして、社員が退職勧奨に応じることは、紛争のリスクも軽減されます。労働契約を終了させるということは、社員の生活にも多大なる影響が生じますので、双方ともなるべく納得した労働契約関係の終了となるよう、まずは退職勧奨によって労働者に退職を勧めることは重要です。
3-2.解雇
企業経営をしていると、どうしても問題のある従業員が目に付くものです。
そのようなとき、多くの企業はその従業員を「解雇」しようと考えます。
しかし、解雇はそう簡単に認められるものではありません。労働者は法律によって固く守られているので、雇用者の都合によって、労働者を辞めさせることはできないのです。
普通解雇が認められるには、解雇がやむを得ないという合理的な理由と、解雇する手段の社会的相当性が必要です。
たとえば、ある従業員の勤務成績が他の従業員と比べて低いというだけでは解雇できませんし、入社時の些細な経歴詐称があったとしても解雇は不可能です。
最近では入社後にうつ病になる従業員が増えていますが、うつ病になったというだけで解雇することも認められません。
また、解雇が認められるケースでも、いきなり解雇することはできません。
前述の通り、まずは別の仕事を与えることや配置転換、異動などによって対処をしてみて、それでもどうしても問題が解決されず、解雇がやむを得ないときにようやく解雇を検討します。その場合でも、できる限り退職勧奨を行い、解雇は最終手段とすべきです。
解雇理由がないのに解雇をすると、従業員から解雇無効を主張されて、労働審判や訴訟を起こされる可能性もあります。その場合、未払いの賃金や慰謝料などを請求されるので、企業にとっては大きな痛手となるでしょう。
このように解雇という手段は、これまで会社が適切な対応をしていたことが前提とされますので、日々の適切な対応をしっかりすることが重要です。
解雇が争われた事例
過去に解雇問題で労働者側から訴訟や仮処分等を起こされ、解雇が無効と判断された事例をご紹介します。
①東京地裁平成11年10月15日決定(セガ・エンタープライゼス事件)
この事案では、会社が従業員を「労働能率が劣っていて向上の見込みがない、積極性がない、協調性がなく自己中心的であること」などとして「能力不足」を理由に解雇しました。
従業員はこれに納得せず、解雇の無効を主張して地位保全と賃金仮払いの仮処分の申立てをしました。
裁判所は『従業員が平均的な水準に達していなくても、解雇は有効にならない』として、従業員の主張を認めて解雇を無効と判断しました。
②札幌地裁平成11年9月21日判決
交通事故で脳挫傷と外傷性くも膜下出血となり、6か月休職した従業員が、就業規則に則って退職させられたとき、納得せずに訴訟を起こした事案です。
裁判所は、当該従業員が完全な状態では復職できなくても、2、3か月様子を見れば完全な復職も可能であったと推測できたので、休職期間の満了を理由として退職させることは認められない、として退職の効果を否定しました。
このように、解雇や就業規則に基づく退職が行われたときも、争われると無効になってしまう事例が数多くあるので注意が必要です。
問題社員への対応を弁護士に依頼するメリット
自社に問題のある従業員を抱えて悩んでいる場合や、『採用段階』『雇用継続段階』『退社・解雇段階』において適切な対応をしたい場合には、弁護士に依頼すると、以下のようなメリットがあります。
(1)適切な対応を相談できる
まずは、個別の事情をヒアリングし、法律の規制や判例の動向を踏まえ、実効性のある対応策をご提案いたします。
当事務所の顧問契約では、日々の対応時に同席をする、必要な関係書類を作成する等の対応も可能です。
(2)処分や解雇できる事案かどうかわかる
その事案で本当に解雇が認められるのか、適切に判断できます。
解雇理由がないのに解雇するとトラブルになり会社としても多大なリスクを負います。事前に適切に状況を把握しておくことで、不適切な処分や解雇トラブルを避けられます。
(3)処分や解雇方法を確認できる
実際に処分や解雇の要件を満たす場合であっても、適切な方法で手続きを進めていく必要があります。処分や解雇には社会的に相当な方法で行われることも要求されるからです。もちろん解雇の場合には、解雇予告手当などの法律で求められる手順を踏むことは当然です。
弁護士に相談すると、法律に従った正しい手順を踏んで解雇手続きを進められるので、後に従業員から解雇無効を主張されるリスクが大きく低下します。
また、万一、解雇が無効と争われた場合でも、要所要所で適切な対応をしていれば、会社に有利な結論が望めます。
(4)処分や解雇の無効を主張されても適切に対応できる
会社側が適切に対応していても、従業員が処分や解雇の無効を主張してくる可能性はあります。
弁護士に相談や依頼をすると、労働組合からの団体交渉申し入れや労働審判、労働訴訟などの裁判手続きに適切に対応できるので、企業が不利益を受けるおそれも低下します。
(5)問題社員への事前対応策を知ることができる
問題社員とのトラブルを経験したことがある場合や、現時点で会社に問題社員がいない場合でも、弁護士にご相談いただければ、将来に向けて会社がすべき社員への適切な対応を知ることができます。
当事務所の顧問契約では、日々の各場面に求められる法律関連書類の作成や、採用時から処分を検討する際など各手続きの立会い、従業員との面談等、各段階において対応することも可能です。
まずは法律相談(初回60分無料相談)にお越しください
問題社員への対応は、問題が生じたときだけ対応をすればよいというものではありません。そもそも、何を問題として捉えてよいのかという根本的な部分から、日々の適切な対応の積み重ねまで、法的観点から適切な対応が求められます。
リフト法律事務所では、入社時から退社・解雇時まで各段階において継続的な対応が可能です。問題社員でお困りの際には、いきなり処分をする前に是非ともお問い合わせください。
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