労働時間管理の必要性は?ブライダル業界のトラブル例も紹介

 

労働時間管理は、企業の健全な運営にとって不可欠な要素です。適切に管理することで、従業員の健康を守り、生産性を向上させられます。とくに、ブライダル業界のように繁忙期と閑散期の差が激しい分野では、労働時間の適切な管理が業務の効率化はもちろん、従業員の満足度や定着率の向上にもつながります。 この記事では、労働時間管理の必要性や計算方法、労働時間管理における弁護士のサポートについて解説します。

 

労働時間管理の必要性

労働時間管理は、従業員の健康と生産性を守るために欠かせません。適正に管理することで、法令遵守はもちろん、労働環境の改善や社員の満足度向上にもつながります。

 

労働基準法で定められている

日本の労働基準法では、労働時間や休憩時間、休日などが厳格に定められています。労働基準法をきちんと守るためには、労働時間を正確に管理しなければなりません。適切な管理を怠ると、違法な長時間労働につながり、重大な法的責任を問われることもあります。 労働時間の管理は法令遵守の観点からも、企業運営における基本的な責務です。タイムカードを活用したり、勤怠管理サービスを運用したりして労働時間をきちんと把握しましょう。

 

労働環境の改善を図る

労働時間管理の適正化は、従業員の労働環境を大きく改善します。ワークライフバランスの実現を促し、仕事と私生活のバランスをとりやすくなるでしょう。 また、きちんと休むことで疲労の蓄積を防げます。さらに、私生活を充実させてストレスを軽減することで、職場の雰囲気を良好に保つことにもつながります。長期的な視点でみると、労働環境の改善は生産性を向上させ、企業全体の競争力強化に貢献することになるのです。

 

社員の定着率を上げる

労働時間の適切な管理は、社員の定着率向上にもつながります。もし過度な労働を強いた場合、従業員は疲労とストレスを溜めて職場を離れてしまうでしょう。適切な労働時間が守られていれば職場の満足度が高まり、転職せずに社内でキャリアを築くことを望むでしょう。 社員の定着率を上げることは人材の流出防止につながり、採用コストの削減にもなります。また、キャリアを積んだ社員が働き続けることは、企業の成長を支える重要な要素にもなります。

 

社員の健康を守る

労働時間管理は、従業員の健康を守るうえで欠かせない役割を果たします。長時間労働は、心身の健康問題を引き起こす大きな原因のひとつであり、放置しておくと過労死やメンタルヘルスの問題につながるためです。 適切に労働時間を管理することで、従業員は十分に休めて仕事もはかどります。このように、労働時間を管理することは、従業員の健康を守ることはもちろん、組織全体の生産性向上にも寄与するのです。

 

労働時間の計算方法

労働時間とは、実際に働いた時間のことです。労働時間の計算は、勤務時間から休憩時間を差し引いたものです。計算式は以下のとおりです。

勤務時間-休憩時間=労働時間

たとえば、10時出社、19時退勤で、12時から13時まで休憩を取ったとします。その際の計算は、以下のようになります。

19時-10時=9時間

9時間(勤務時間)-1時間(休憩時間)=8時間(労働時間)

1日の労働時間は、1分単位で求めることが原則です。タイムカードが1分過ぎていたとしても、その1分間をきちんと労働時間に含めておかなければいけません。

ただし、1か月単位であれば、端数を丸めて計算することが認められています。 たとえば、1か月分の労働時間が160時間22分だとします。この場合は、30分未満は切り捨ててよいため、労働時間を160時間として給与に反映してかまいません。

1分単位で計算すると、給与計算が複雑になってしまうためです。 重要なポイントは、どの従業員にも同じルールで労働時間を計算することです。そうすることで、従業員全員に平等に給与が支給されることになります。

ブライダル業界によくある労働時間管理に関するトラブル(具体例)

ブライダル業界は、ウェディングプランナーやブライダルサービススタッフなどの職種があり、長時間労働が一般的です。 打ち合わせは基本的に顧客の都合に合わせなければならず、結婚式も人気の時期に集中して忙しくなるためです。以下は、実際にブライダル業界での労働時間に関するトラブルの一例です。

・休憩時間が1時間あるにも関わらず、実際は顧客の打ち合わせや結婚式の時間などとの兼ね合いで休憩がほぼとれない。従業員から「休憩時間もすべて労働時間として計算されるべきだ」という申し出があった。実際、勤務表にも休憩時間の記載がない日もあった。

・出社時間は10時〜20時だが、朝に打ち合わせが入ったり、夜遅くにお客さんとの打ち合わせがあったりして、定時内に終わることがほとんどない。土日も結婚式があるので休めず、サービス残業が当たり前のようになっている。従業員より「労働時間に対してきちんと見合った給与がほしい」という申し出があった。 労働基準法では「8時間労働する場合は、最低でも1時間の休憩時間をあたえなければいけない」という決まりがあります。

また、労働基準外の労働は月45時間、年間360時間までという規制があります。残業が超過するようであれば、労働環境を見直さなければいけません。 従業員から残業代に関する不満がでないようにするには、勤怠管理システムで労働時間を記録することが大切です。

また、現場できちんとルールを徹底させることも重要な課題となってきます。 もし、休憩がきちんと取れていなかったり、過度な残業があったりするようであれば、労働環境を改善していきましょう。

 

労働時間管理に弁護士が提供できるサポート

労働時間を適切に管理することが、法的トラブルを防ぐ鍵となります。日頃からタイムカードや勤怠管理システムを利用して、労働時間をきちんと管理しましょう。 労働時間を把握することで、労働基準法に基づいているかを適切に判断できます。 それでも万が一、労働時間管理に関する問題が起きた場合は、弁護士に相談するのがおすすめです。

弁護士は、労働基準法に基づく適切な勤怠管理システムの構築や残業代請求に関する対応策の提案、さらには労働トラブルが発生した際の法的代理人としての役割を果たせるためです。 とくに、残業代の未払い請求や労働時間に関する訴訟が増加している近年では、事前に弁護士に相談しておくのがよいでしょう。企業が労働時間に関する法的リスクを適切に管理するためのアドバイスを提供します。

労働時間管理に関する問題は、従業員の健康や満足度に直結しているため、企業のイメージやブランドにも大きく影響します。もし労働時間管理のことでお悩みなら、リフト法律事務所にお問い合わせください。早期に弁護士に相談することで、問題を悪化させずに解決へ導きましょう。

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弁護士 川村勝之

大学院時代には労働法を専門的に学び、弁護士となる。2015年にリフト法律事務所を立ち上げる。法律に関する知識に加え、IT関連の知識やコーチングの知識にも造詣が深く、多数の企業の顧問弁護士を務める。

 

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